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【大塚寧々 ネネノクラシ#35】16年ぶりに訪れた与那国島で感じた「変わらない自然の美しさ、力強さ、偉大さ」

大塚寧々
16年ぶりに与那国島へ(Ph/網中健太)
写真2枚

女優・大塚寧々さんが、日々の暮らしの中で感じたことを気ままにゆるっと綴る連載エッセイ「ネネノクラシ」。第35回は、16年ぶりに訪れた「与那国島」について。

* * *
映画の撮影で16年ぶりに与那国島に行った。16年ぶりだから今どんな感じなのか、どれくらい変化しているのか気になった。

ドキドキしながら、空港に降りた瞬間に「ああ~この空気の感じ! 与那国だ!」と思った。暑くて、酸素が濃く、緑が深く、独特の青さの海、そして湿度。沖縄本島とも西表島や石垣島や宮古島とも全然違う独特の空気感。

「地球とは違う場所のような、天国にいるような感じ」

16年前にドラマの撮影をしていた時は、色々大変な事もあったが、お休みの時は役者さんたちと海でカヌーをしたりして楽しかった。シュノーケリングもした。与那国の海は海流が早くて、海に入るとあっという間に体が流されそうになるのでびっくりした記憶がある。

自然もダイナミックで力強い。忘れられないのは、普段とは違う暑さに辟易しながら港で撮影している時のことだ。何だか足の裏がすごく熱いと思っていたら、メイクさんが「あ! サンダルの裏が溶けているよ!」と言ったのだ。

与那国島
与那国島の「独特の青さ」の海(Ph/大塚寧々)
写真2枚

衝撃…サンダルの裏が溶ける暑さだったのか…目玉焼きが焼けるかもしれないと暑さでぼんやりした頭で思った。港だから日差しを遮るものもなかったし、地面はアスファルトだったから熱くなったのだろう。

台風も凄かった。今まで経験したことがない強さだった。 宿の玄関の窓は風が吹くたびにパリーンシャラシャラと割れたし、寝る時は窓ガラスの近くに顔を向けて寝ない方がいいという事も教えてもらった。自動販売機も倒れるし、車もひっくり返る。そして牛も飛ぶという話も聞いた。

海辺もすごく綺麗だった。草を掻き分けながら、海の方まで歩いて降りていったのだが途中に牛がいたりしてちょっと怖かった。

でも海辺は誰もいなくてどこまでも続く砂浜がとても綺麗だった。水際で魚がピョンピョン跳ねていて、なんだか地球ではない違う場所にいるような、まるで天国にいるような感じだった。

あの光景は一生忘れないと思う。そして夜空に光り輝くたくさんの“星山”の方からは、ほお~ほお~と何の動物か鳥かわからないけど声が響いている。何時間でも見ていられそうだった。

そんな与那国に16年ぶりに行けて、変わらない自然の美しさ、力強さ、偉大さを感じた。

◆文・大塚寧々(おおつか・ねね)

1968年6月14日生まれ。東京都出身。日本大学藝術学部写真学科卒業。『HERO』、『Dr.コトー診療所』、『おっさんずラブ』など数々の話題作に出演。2002年、映画『笑う蛙』などで第24回ヨコハマ映画祭助演女優賞、第57回毎日映画コンクール主演女優賞受賞。写真、陶芸、書道などにも造詣が深い。夫は俳優の田辺誠一。一児の母。出演映画『Dr.コトー診療所現在』が12月16日公開予定。

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