9月病対策に効果的な食材
さらに、9月病の原因のひとつであるセロトニンの減少をカバーするため、セロトニンの合成に関わる「トリプトファン」や「ビタミンB6」などの栄養素を含む食材を積極的にとりましょう。
トリプトファンからセロトニンを合成するにはビタミンB6が欠かせないため、トリプトファンを含むほうれん草と、ビタミンB6が豊富な鮭を組み合わせた料理がおすすめです。ソテーやクリーム煮など、組み合わせを考えてみましょう。
また、セロトニンは消化管に多く存在するため、腸内環境を良好に保つことも大切です。そこで、おすすめの食材は栗です。
栗に含まれる「食物繊維」は消化吸収されないため、腸内の老廃物の排出や便秘解消を促し、腸内環境を整えるのに役立ちます。米からもトリプトファンを摂ることができるので、栗の炊き込みご飯にして食べるとよいでしょう。
さらに、味噌汁を添えると大豆に含まれるビタミンB6も摂取できるうえに、発酵食品である味噌には善玉菌を増やす効果も期待できます。
9月病改善には漢方薬も役立つ
9月病は、気候や環境の変化による強いストレス、過度な緊張、過労などで乱れた自律神経を整えることが改善のカギです。そのため、「自律神経の乱れを整える」「イライラを鎮める」「落ち込みや不安を軽減する」「消化・吸収機能を改善して体の内側から心と体を元気にする」といった作用のある漢方薬を選びます。
9月病の症状を緩和する漢方薬
・柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
動悸や不眠などの症状がある人に向いている漢方薬です。滞ったエネルギーを巡らせて自律神経を整えることで、イライラや抑うつ、不安感などに働きかけます。
・半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
滞ったエネルギーを巡らせることで精神の緊張を和らげ、イライラや不安、喉のつかえ感などの症状を緩和する漢方薬です。また、胃の働きを整えて消化不良を改善する効果も期待できます。
漢方薬を始める際の注意点
自然由来の生薬によって体に働きかける漢方薬は体質改善を得意としているため、食事の工夫などでは不調が改善しなかった人でも効果を感じる場合が多くあります。
ただし、漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。自分に合う漢方薬を見つけるために、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。
◆教えてくれた人:薬剤師・山形ゆかりさん
やまがた・ゆかり。薬剤師、薬膳アドバイザー、フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ。牛角・吉野家ほか薬膳レストラン等15社以上のメニュー開発にも携わる。「健康は食から」をモットーに健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘル-youtubeチャンネル(@medicalhealth–7900)で簡単薬膳レシピ動画を公開するなど精力的に活動している。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/)でも薬剤師としてサポートを行う。