東日本大震災で被災3県へ 被災者の手を握られ励まされた雅子さま
東日本大震災の発生から約1か月後、2011年4月6日に福島県などから避難してきた人々が身を寄せる東京・調布市の味の素スタジアムを訪問され、同月の5月には埼玉県の三郷市立瑞沼市民センターで被災者をお見舞いされた天皇皇后両陛下(当時は皇太子ご夫妻)。
同年6月、被災地の宮城県岩沼市へ訪ねられた。津波の影響で家などが流された被災地で、おふたりが並ばれ、黙礼をされた。
避難所の山下小学校体育館で、雅子さまが涙を流す被災者女性の手を握られ励まされたり、7月の福島県郡山市では、雅子さまが涙ぐまれながら、被災者の肩に手を添えられる場面もあった。
震災の翌年、2012年2月の会見で、避難所と被災地を訪問された際の様子を振り返られた天皇陛下。
「この1年、東日本大震災を始めとして、国内外で大きな災害が相次いで起こりました。2万人近くの死者と行方不明者を出した未曽有の震災からもうすぐ1年になりますが、この1年、震災のことは常に頭から離れませんでした。
東京都内や埼玉県の避難所を訪れたのに続いて、宮城、福島、岩手の3県を雅子と共に訪れ、被災された方々をお見舞いし、お話を伺ったことや、地方訪問の機会に、その地に避難された方々とお会いしたり、被災地から都内に移り、元気に学ぶ小学生とお話ししたりしたことを一つ一つ思い出します。
震災で家族や親しい人を亡くされた方々の悲しみはいかばかりかと思いますし、今なお、震災や原子力発電所の事故などで故郷を離れたり、被災地で不自由な暮らしをされたりしておられる方々のことを考えると心が痛みます。
そうした困難な状況下にあっても、被災された方々が力を合わせて復興に向け歩んでおられることは、大変心強く思います。一例を挙げれば、昨年8月に岩手県の大船渡市にお見舞いに伺った際に、仮設住宅での暮らしの中で、住民の方々が自治会などの組織を作り、力を合わせ、困難を乗り越えながら前に進んでいこうとされる姿に感銘を受けたことを思い出します」
被災地の状態に心を痛められながらも、お見舞いを続けられた両陛下。慰めだけはなく、被災者に前向きなお言葉も送られていた。