「糖質オフ」を謳う飲食料品がスーパーの棚に並び、外食チェーンも「米抜き」メニューを次々提供、2016年の「糖質オフ・ゼロ市場」は3000億円超と拡大の一途をたどる。老若男女がこのダイエットブームに乗り、食卓の隅にお米を追いやるなか、衝撃の研究結果が発表された。糖質制限で、毛が、肌が、脳が、どんどん老化していくというのだ。
東北大学大学院農学研究科の都築毅准教授の研究チームは3月17日、「糖質制限食を摂取し続けると体が老化する恐れがある」という研究成果を発表した。
「1年間にわたり、マウスに通常飼育食を与えた場合と、糖質制限食を与えた場合を比較しました。ビタミンやミネラルは同じ量を与えています。通常飼育食を与えたマウスの多くが平均寿命よりも長生きでしたが、糖質制限食のマウスは平均寿命より20~25%ほど短命でした。また、糖質制限食を与えたマウスは脱毛がひどく、老化の進度が30%ほど速いことがわかりました」(都築准教授)
お米はダイエットにもってこいの食材
そのように糖質制限の実態が徐々に明らかになるなか、昨今は「米を食べてやせよう」という真逆の動きが注目を集めている。
管理栄養士の磯村優貴恵さんが語る。
「お米は60%以上が水分で脂質は1%。ビタミンやミネラル、食物繊維も豊富で、極めてヘルシーな食材です。また、お米は粒食なので、粉食のパンよりも自然としっかり噛むようになります。よく噛むことで満腹中枢を刺激し、少量でも満足感が得やすくなる上、噛むほどに分泌される唾液には糖質を分解する消化酵素のアミラーゼが含まれます。お米はダイエットに強い味方となる食材なのです」
糖質制限ブームによって遠ざけられがちなお米が、実は抜群の痩身効果を持つとは、皮肉な話である。
「白米だけでなく、雑穀米を混ぜて炊くと効果アップが期待できます。プチプチとした食感が増すので、普段早食い傾向にある人でもおのずとしっかり噛むようになります。雑穀米は白米に比べて食物繊維やビタミン、ミネラルがさらに豊富なので、充分なおかずが用意できない人にもおすすめです。胃腸の調子が悪い時は、おかゆにして食べるといいでしょう」(磯村さん)
同様に、玄米もダイエットには最適。白米に比べ、ビタミンB2は2倍、ビタミンB1は5倍、食物繊維にいたっては白米の6倍という超栄養食材である。
「食べ慣れていない人の場合、消化不良を起こす可能性があるので、最初は白米と混ぜたり、充分に吸水をして軟らかく炊くなど、段階を踏むことをおすすめします」
さらに近年は、お米のカロリーを劇的に減らす炊き方も発見されている。ダイエットに詳しいサイエンスライターの鈴木祐氏が解説する。
「米食が盛んなスリランカの大学の研究です。まず白米の重さの3%のココナッツオイルを入れてお米を炊きます。そして炊き上がった米はすぐに食べず、冷蔵庫に入れて12時間ほど寝かせる。
これだけで、お米のデンプンがレジスタントスターチという食物繊維に変化し、他の栄養素を減らすことなくカロリーを約半分にカットできるのです」