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【オバ記者連載13】お見合い結果は? 72才会長見せた衝撃写真

「あ、そうだ。さっきうちの財務担当から電話があってね。今月末が決算で、ひと枠だけ残っているんだって。月末までに株を買うと、一年分、15%の配当をお出しできるそう。1000万円の投資で15万円だから大したことはないけど」って、ほーら、おいでなすった! K氏のこのひと言で、ピタリとワルツの音が止まり、私のモードも変わっちゃった。

そういえば、さっき見せられた会社のパンフレットも、町場の印刷やで簡単に刷ったような気がするわ。「いいお話ですねえ」と言いつつ、「でもそろそろ…」と身じまいを始めたら、「夕飯、どうですか? 神田の行き付けの寿司屋にご招待しますよ」と何度も。ならばと、再び会う時間を決めて、会社に戻った私はK氏の会社をネットで調べたわよ。ない。「慶応」に詳しい友達に電話をすると、「慶応に幼稚園はなくて、あるのは、幼稚舎。小学校からよ。その人、怪しいから気をつけて」。

それでも好奇心が勝ってしまうのが私の性分ね。神田に行って、寿司屋さんのカウンターに座ると、再びK氏は「さっきの話ね」と、投資話を始めたの。「三口くらい、どうですか? 3000万円で再来月の頭には、45万円の配当ですよ」。だから、「その3000万円はKさんのポケットマネーから出して、私は名義だけ貸すというのはどうですか? 配当が出たらKさんと私で半分こ」。K氏は「そうねえ」と言ったきりダンマリだ。

ここで黙っていればいいんだけどねぇ。「Kさん」。私は箸をおいて背筋を伸ばしたの。「私はKさんととても気が合うと思っているんですよ。なぜ、幼稚園から慶応なんて言うんですか?」って、あ~あ、言っちゃった。「何のこと?」と目をシバシバさせているK氏に「だから、慶応に幼稚園はないですよね?」と私。

「おれ、そんなこと、言ってねえよ」

「ぼく」が「おれ」になったとたん、K氏の目が鈍く光ったの。「これ以上は攻めるな」と私の中の野生が止めるので、あとは当り障りのない話。「ごちそうさま。楽しかったでーす。また、話しましょう」と握手して別れたけど、K氏とはそれきり音信不通よ。

思えば還暦まであと5か月。こんなことしている場合じゃないって!

オバ記者(野原広子)

1957年、茨城県出身。『女性セブン』での体当たり取材が人気のライター。同誌で、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。

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