
初夏から旬を迎えるトマト。トマトの栄養素としてよく知られるリコピンだけでなく、女性にとってうれしい栄養がたっぷり詰まっていると、野菜ソムリエプロの福島玲子さんは話します。期待できる効果やトマトの栄養をしっかり摂る方法を教えてもらいました。
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健康にも美容にも役立つ栄養をたっぷり摂る方法とは?
ヨーロッパに「トマトが赤くなると医者が青くなる」ということわざがあるほど、トマトは健康によいと言われている野菜です。
アンチエイジングに効果的なリコピン
トマトに多く含まれるリコピンは、強い抗酸化作用を持つカロテノイドの一種です。トマトには、同じく抗酸化作用のあるβ-カロテンもたくさん含まれています。美白やアンチエイジングなどの美容効果が期待できますよ。

リコピンは油に溶ける性質を持つため、油と一緒にとると吸収率が高まります。なので、オイルを使ったドレッシングと一緒に食べたり、トマトでドレッシングを作ったりするといいですよ。リコピンは熱に強く、炒めたり、煮込んだりなどの調理をすると体内に吸収しやすい構造になると言われています。

トマトの栄養を余すことなく摂取するためには、栄養をたくさん含む皮も食べるのがおすすめです。
ダイエット効果が期待できる成分も研究中
トマトにはビタミンCがたっぷりなうえに、ビタミンCの吸収率を高めるルチンも含まれています。カリウムも多く含まれており、体内の過剰な水分を体外に排出してくれるので、むくみ解消の効果が期待できます。コレステロールを下げるのに役立つペクチンも入っています。
ほかにも、脂肪燃焼効果もあるとされています。トマトに含まれるリノール酸(不飽和脂肪酸)の一種である13-oxo(オキソ)-ODAには肝臓で脂肪を燃焼させ、たんぱく質を生成して血糖値を低下させる働きがあり、脂肪燃焼のスイッチをオンにする効果があると、京都大学大学院の研究によって明らかになってきています。

お酒を飲むときにもトマトがおすすめ
また、アサヒグループとカゴメ共同研究で、トマトが飲酒後の血中アルコール濃度を低下させる効果があることも発見されています。飲酒時にトマトを摂取すると、急激な体内アルコール濃度の上昇が抑えられるので、酔いの回りをゆるやかにするそうですよ。
うまみ成分&加熱調理の豆知識
トマトは栄養豊富なだけでなく、うまみ成分もたっぷり。調理法や合わせる食材でさらにおいしくいただけるので、料理をするときに試してみてください。
料理の味わいを深めるうまみ成分
トマトはうまみ成分である、グルタミン酸の宝庫です。これらは昆布と同様のうま味成分なので、料理の味わいを深めたいときにトマトを加えるといいですよ。

同じグルタミン酸が含まれている味噌とあわせると、うまみの相乗効果も期待できます。トマトと味噌を合わせた調味料やドレッシングをつくってもいいですし、味噌汁にトマトを入れてもおいしいです。
また、カレーにうまみを加えるためにトマトを入れるときは、へたを上にしてすりおろすと皮だけ残るので、皮をむく手間も省けてラクですよ。
加熱調理はヨーロッパ原産のトマトが◎

加熱調理をするときは、スーパーでよく見かける生食向きの桃太郎トマトではなく、ヨーロッパ原産のイタリアントマトやサンマルツァーノ種を使うのがおすすめです。
実が詰まっているので形が崩れづらく、水っぽくならないうえに、加熱することでうまみがより強くなると言われているんです。見かけたらぜひ加熱料理に使ってみてくださいね。
おすすめの加熱料理「トマトのオーブン焼き」
トマトの加熱調理というと、スープや卵炒めなどワンパターンになりがちという人には、「トマトのオーブン焼き」をおすすめします。
上下に半分にカットしたトマトの断面を上にして塩、こしょうを適量振り、きざんだニラを炒めてのせ、180℃のオーブンで15分程度焼くだけです。オーブンで加熱すると果肉がぎゅっと締まってやわらかくなり、食べやすいですよ。お好みでしらすやごま油をのせても、おいしくいただけます。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん

ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ