春といえばたけのこがおいしい季節。「栄養たっぷりな旬のたけのこについて詳しく知って、よりおいしく召し上がっていただきたいです」と話す野菜ソムリエプロの福島玲子さんに、含まれる栄養素とおすすめのレシピを教えてもらいました。
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たけのこには疲労ややる気に作用する栄養素が豊富
たけのこは繊維質が多く低カロリーなのに、栄養たっぷり。疲労を回復したり、やる気や集中力を高めたりする栄養素を摂ることができるのです。
疲労回復や生活習慣病の予防ができるたけのこの栄養とは?
たけのこは、たんぱく質豊富な野菜。このたんぱく質を構成するグルタミン酸やチロシン、アスパラギン酸などのアミノ酸には、うまみ成分があります。さらに、たけのこに含まれる必須アミノ酸のロイシンはエネルギー源となり、疲労回復効果が期待できます。
塩分の排出を促すカリウムも豊富で、高血圧予防や生活習慣病の予防効果が期待できます。また、腸のぜん動運動を促す不溶性食物繊維も多く、便秘の予防に役立つといわれています。
必須ミネラルの一種である亜鉛も多く含まれていて、これは新陳代謝やエネルギー代謝などを促します。亜鉛は不足すると免疫不全や肌荒れ、味覚障害が起こるといわれているため、欠かせない栄養素です。
節の間の白い粉は、やる気を高める栄養素
たけのこをカットしたとき、節の間に白い粉が見えることがあるでしょう。これは、アミノ酸の一種であるチロシンが結晶化したもの。洗い流さずに調理してOKです。
チロシンはアミノ酸の一種で、アドレナリンやノルアドレナリン、ドーパミンなどの神経伝達物質や、皮膚や髪の毛の色素になるメラニンの原料になる栄養素です。チロシンは体内でも合成されますが、積極的に摂取することで、やる気や集中力を高めたり、ストレスを緩和したりします。
たけのこはカルシウムが多い食材と合わせると◎
たけのこのえぐみのもとであるシュウ酸は、大量に摂取すると尿路結石の原因となるもの。溜まる前に排出する必要があるのですが、カルシウムと結びつくことで、シュウ酸カルシウムとなり、便として排出されます。
ですから、たけのこを食べるときはカルシウムを含む食材を一緒に食べるといいんです。たとえば、厚揚げや干しえびなどカルシウムの多い食材と煮物にすると、同時に摂取できるのでおすすめです。
部位によっておすすめレシピが変わる!役立つ豆知識
最後に、部位ごとのおすすめ調理法を教えます。旬の季節にしか味わえない姫皮(ひめかわ)についても知っておくと、余すところなくたけのこのおいしさを楽しめますよ。
味や食感が異なるたけのこの3つの部位
たけのこは部位によって味や食感が変わります。穂先はやわらかく香りが強いので、サラダやお吸い物などにして素材をそのまま味わっていただきたい部位です。
中央の部分は固いですが味がよいので、加熱してからたけのこご飯などにすると、コリコリとした食感を味わえます。根元は食物繊維が豊富で、やわらかめではありますがややアクが強いので、煮物などの濃いめの味付けの調理向きです。
「姫皮の塩昆布炒め」のレシピ
姫皮はたけのこの穂先の上部にあたる部分。水煮パックでは食べられない、旬のときだけの味です。見た目がきれいで食感がやわらかいので、下茹でし、薄めの味付けでいただくのがおすすめ。そこで、姫皮をさっぱりとおいしくいただける「姫皮の塩昆布炒め」の作り方を紹介します。
《材料》(3人分)
姫皮…100g 塩昆布…10g しょうゆ…少々 ごま油…大さじ1 白ごま…お好みで
《作り方》
【1】姫皮を細切りにする。
【2】フライパンにごま油を引き、姫皮を加えて炒め合わせる。
【3】【2】に塩昆布としょうゆを加えて、味をなじませて完成。仕上げに白ごまを適量振りかけてもおいしいです
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん
ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ