体を大きく動かさないことの決して小さくない代償
人間の体は、走ったり物を投げたりするような「大きな動き」を繰り返せる構造になっています。しかし生活が便利になるにつれ「大きな動き」は必要なくなり、さらにIT化やテレワークの浸透によって体を動かすこと自体が激減しました。
この変化が私たちの体を蝕んでいたのです。
体を動かさないと血流を上げる機会が減り、余った糖や脂質が血中に残って血管という体のインフラが傷みます。生活習慣病の多くは血管が硬くもろくなることで起き、その行き着く先が心疾患や脳血管疾患、腎不全などによる突然死です。
それを防ぐためにエクササイズで「大きな動き」を実現するには、大きな関節である【1】肩甲骨を含む「肩関節」、【2】背骨で構成される「椎間関節」、【3】骨盤と大腿骨の「股関節」をよく動かす構成が必要となります。
血流がよくなる2つの秘密とは
最速で全身の血流がよくなる秘密:動きが激減した部位を狙っている
普段よく使う手先・足先より肩甲骨・脊柱・股関節を動かしたほうが、血液を押し流す筋肉のポンプ作用は圧倒的に効率よく働きます。私たちの胴体、いわゆる体幹部は前に屈めるし後ろにも反らせる、左右に曲げたりねじったりすることも可能な、よく動く構造になっていますが、現代人の多くは、ぬいぐるみや人形のように胴体がうまく動かなくなっているからです。
こうして血流がよくなり、糖や脂質の消費が増えれば、血管はしなやかになって健康維持に大いに役立ちます。