最速で全身の血流がよくなる秘密:血管の集まる部位をしっかりほぐす
循環系ストレッチのもう一つの狙いは、血管の集まる部位を動かすことです。
心臓から拍出された血液は、まず太い血管(動脈)を大量に流れ、そこから枝分かれして体の末梢まで少しずつ血液を届けてくれる毛細血管へと広がっていきます。
動脈は、道にたとえると幹線道路です。車線も行き交う車も多い幹線道路が渋滞すると、枝分かれする小路に入る車も減ります。血管もそれと同じで、大きな動脈の流れが滞ると毛細血管への流れも滞り、結果、全身の血流が低下するわけです。
循環系ストレッチでは、この低下した血流を復活させるために、幹線道路となる動脈が集まる部位に注目しました。首の付け根、肩まわり、わきの下や胸の前、そけい部などは大きな動脈の通り道で、多くの血管が集まります。そこを積極的に動かすと血管まわりの筋肉がほぐれ、滞っていた血液を押し流してくれるのです。
ゲートが開いたかのように動脈の流れがよくなると、枝分かれした毛細血管にも血液がしっかり届きます。そうすると毛細血管は網目状にどんどん広がり、体のすみずみまで血液が巡るようになるのです。
◆教えてくれたのは:フィジカルトレーナー・中野ジェームズ修一さん
1971年生まれ。フィジカルトレーナー。米国スポーツ医学会認定運動生理学士。アディダス契約アドバイザリー。日本では数少ない、メンタルとフィジカルの両面を指導できるスポーツトレーナー。トップアスリートや一般の個人契約者の、やる気を高めながら肉体改造を行うパーソナルトレーナーとして数多くのクライアントを持つ。現在は大学駅伝チームのトレーナーも務めつつ、講演会なども全国で精力的に行っている。 おもな著書に、『下半身に筋肉をつけると「太らない」「疲れない」』(だいわ文庫)、『青トレ 青学駅伝チームのコアトレーニング&ストレッチ』(徳間書店)、などがある。 https://twitter.com/nakanojames