不調改善

トップアスリートが実践する睡眠術 「R90テクニック」、”睡眠の質”を高めるその方法をスリープコーチが解説

睡眠
トップアスリートが実践する睡眠術 「R90テクニック」とは?(Ph/AFLO)
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1日を16分割することで計画的に眠りを設計するという「R90テクニック」。睡眠の質が即パフォーマンスにつながる一流アスリートが信頼する睡眠術を、大公開します。

実力を発揮できるかは睡眠の質次第

“ここ一番”の大会でカギを握るのが、眠りのマネジメント能力だ。

「キモは長さだけでなく、質。そのためのルーティンを作れるかどうかが重要なのです」と言うのは矢野達人さん。

サッカー選手のクリスティアーノ・ロナウド(39)も「R90テクニック」実践者のひとり。
サッカー選手のクリスティアーノ・ロナウド(39才)も「R90テクニック」実践者のひとり(Ph/共同通信社)
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レアル・マドリードなどで眠りを指導したカリスマ、ニック・リトルヘイルズ氏から「唯一の弟子」と認められたスリープコーチだ。

「大谷(翔平)選手が“深い眠り”を重要視するのは、成長ホルモンが多く分泌することでけがの治りを促進し、ネガティブな感情を整理してくれるから。重要な場面で実力を発揮できるかは、睡眠の質にかかわっているのです」(矢野さん・以下同)

時間ではなくサイクルで考える

上質な睡眠を取るために考案されたのが、24時間を90分×16サイクルに分けて1日の活動を設計する「R90テクニック(以下、R90)」。

R90の生活例

5サイクル睡眠、6:30起床の場合、就寝は23:00となる。第1 、11サイクルはルーティン化して体内時計を整え、眠りの質を高める。

「眠れない人は、無理して長く寝床にいるよりは、4サイクル睡眠から始めて途中覚醒しない“密度の高い眠り”を目指しましょう」

日中眠い人は第4~5サイクルの間に10~15分の仮眠を取ったり、1~2分の「プチ瞑想」を。活動量が少ない人は、日中になるべく体を動かす予定を入れよう。

R90の生活例
R90の生活例
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「やり方は、まず自分の生活に合った起床時間を決め、睡眠時間を決めます。一般のかたなら5サイクル(7時間30分)の睡眠時間が適切でしょう。トップアスリートは、ここからサイクルごとに細かく行動予定を入れますが、一般のかたに望むのは2つだけ。起床後の第1サイクルと就寝前の第11サイクルをルーティン化することです。これにより、眠りや翌日のパフォーマンスが格段に変わります。

第1サイクルでやってほしいのは『朝起きて日光を浴びる』『1日の目標を口に出すか書き出す』『深呼吸』の3つ。目標とは、『○○時までに書類を作る』『窓掃除をする』などの具体的なタスクのこと。これを設定すると1日の過ごし方が明確になり、達成していく小さな成功体験が、大きな自信となるのです。

その後1~2分、鼻から吸って口から吐く深い呼吸を“無心”で行う『プチ瞑想』を。それから、通常の朝の支度をしてください」

第11サークルは、深い眠りのための時間。

「入浴や軽いストレッチ、深呼吸で心身をほぐす。毎日続けると、『もうすぐ眠るんだ』と脳が記憶し、入眠モードになる。くれぐれも、SNSの書き込みや、嫌なことを思い出す時間に使わないように!」

ルーティン化すると生活のリズムが整い、心身の状態も上向いてくるそうだ。

(イラスト左)よい睡眠の基本は「呼吸が楽にできること。そのためにも「鼻から大きく吸って口から吐く」深呼吸は、日中もこまめにやること。(イラスト右)脇を伸ばすなど胸回りを開くストレッチも、楽な呼吸をサポート。就寝前におすすめ。
(イラスト左)よい睡眠の基本は「呼吸が楽にできること。そのためにも「鼻から大きく吸って口から吐く」深呼吸は、日中もこまめにやること。(イラスト右)脇を伸ばすなど胸回りを開くストレッチも、楽な呼吸をサポート。就寝前におすすめ(Ph/a.otsuka/PIXTA)
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サイクル通り眠れなくてもOK!

基本、サイクルは休日も変えないようにする。

「とはいえ忙しい日もあります。そんなときも起床時間は変えず、睡眠時間が減っても寝る時間を遅らせること。週4日以上、5サイクル眠れたらOKです」

アスリートは1週間単位でサイクルを見直すという。

なぜなら、海外遠征が多い競技は時差ボケで体調が変動するため、1つのサイクルに固執できないからだ。

「どんな選手でも回復するのに4日~1週間かかります。サッカーのように資金が潤沢な競技なら1週間前に現地入りして調整できますが、マイナースポーツだとそうはいかない。そうした選手は、日本にいるときからその国の時差に合わせて生活するよう、サイクルを設計し直すのです」

光を味方につけて眠りをコントロール

R90を正しく、効果的に実践するには、並行して体内時計を整えることだ。

「体内時計は24時間より少し長めに設定されているので、毎朝日光を浴びてリセットする必要がある。朝からカーテンを閉め切り、一日中オフィスの中というかたは、確実に体内時計が乱れています」

最近のオフィスは窓も大きく明るそうだが…。

「『ライトメーター』などの照度測定アプリを使って周辺の照度(※)を測ってみてください。朝、体内時計をリセットするために必要な照度は最低2500ルクスですが、室内で400ルクス程度、窓のある日中のオフィスでも100~数百ルクス台。思ったより明るくないことに驚くでしょう。窓を開け、空を見上げて初めて、2500ルクス以上の光を獲得できるのです。

朝は15秒空を見上げ、ランチは外のテラス席か、室内なら窓側で。逆に、夜は100ルクスくらいの照度で過ごすようにしましょう」

大谷選手がすごいのは長く眠れることではなく、睡眠の勝ちパターンを知っていること。私たちにだってできないことはない!

(※)照度とは、物の表面を照らす光の明るさのことで、「ルクス」という単位で表される。測定アプリは簡易版なので不確実ではあるが、目安として充分役立つ。

◆教えてくれたのは:スリープコーチ・矢野達人さん

スリープコーチ 矢野達人さん
スリープコーチ・矢野達人さん
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Jリーガーや車いすバスケット選手などアスリートの睡眠を指導する傍ら睡眠サロン、睡眠クリニック、睡眠治療院、快眠温泉旅館の運営など、睡眠に関するあらゆる事業に携わっている。 https://lit.link/tatsutoyano

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