胃バテの予防・解消に役立つ食材
胃腸の冷えを防ぐためには、体を温める食材を摂ることも有効です。
肉や魚、卵、大豆などに豊富に含まれるたんぱく質は、筋肉を作るために欠かせない材料です。筋肉には体の熱を生み出す働きもあるため、たんぱく質を日常的に摂取して筋肉量を維持、向上させることがが、体を温め、冷えを防ぐことにつながります。
たんぱく質の摂取目安量は「自分の体重1kgにつき1g/1日」(厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586557.pdf)のため、体重60kgの人であれば約60gです。1日3食食べるとして1食につき約20gずつたんぱく質を摂取するために、たんぱく質の豊富な食材を使った料理を毎食1皿取り入れることが大切です。
また、ねぎやしょうがなどに含まれるアリシンやジンゲロールなど辛み成分は、血行を促進して体を温める働きがあります。冷や奴やそうめんなどの冷たいものを食べるときの薬味にするのがおすすめです。
胃バテ対策には漢方薬も役立つ
胃バテ対策には「体を温めて胃の働きを改善する」、「胃腸の消化吸収機能を回復させる」といった効果が期待できる漢方薬が適しています。
おすすめの漢方薬
・六君子湯(りっくんしとう)
体を巡るエネルギーを補い、胃にたまった余分な水分をとり去るとともに、胃腸を温めて胃腸の働きを改善します。胃が弱く、食欲がなくて疲れやすい人におすすめで、胃痛や胃もたれ、食欲不振など消化器系の不調に幅広く処方される漢方薬です。
・安中散(あんちゅうさん)
胃を温めて体を巡るエネルギーや栄養の流れを整え、胃酸分泌を抑えることで冷えやストレスによる胃痛や胃もたれに働きかけます。体力があまりなく、冷たいものを飲んだときに痛みが増す人や空腹時に痛みを感じる人に適した漢方薬です。
漢方薬を始める際の注意点
漢方薬は食事の工夫などでは不調が改善しなかった人でも、効果を感じる場合が多くあります。
ただし、漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。自分に合う漢方薬を見つけるために、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。
◆教えてくれたのは:医師・木村眞樹子
きむら・まきこ。医師。 都内大学病院、KDDIビルクリニックで循環器内科および内科に在勤。総合内科専門医・循環器内科専門医・日本睡眠学会専門医。産業医として企業の健康経営にも携わる。自身の妊娠・出産、産業医の経験を経て、予防医学・未病の重要さと東洋医学に着目し、臨床の場でも西洋薬のメリットを生かしながら漢方の処方を行っている。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ1つで処方するオンラインAI漢方サービス「あんしん漢方」(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/)でもサポートを行う。