今年の夏は“災害級”の猛暑続き。その影響がじんわり体に及ぼすダメージは、時間差でやってくる。「もしや夏バテ?」と思ったら、早めのメンナンスを! 女性識者に、ストレッチ&ツボ押し・睡眠で回復&予防する方法について聞いた。
【睡眠で対策】寝入りばなの熟睡が疲労回復のカギ
高温多湿の夏は寝苦しくて睡眠不足になりやすく、自律神経の乱れが夏バテを招く大きな要因に。従来の常識が通用しなくなった記録的熱帯夜でも、途中で起きずに朝までぐっすり眠るコツを探った。
今年の夏は夜間最低気温25℃以上の熱帯夜も多く、熱中症死亡者の半数が夜間就寝時に発症。つまり、夏の夜の眠り方が命と健康にかかわる時代になった。
「夏バテ回復に重要なのが、睡眠の質と量とリズムです。ぐっすりと、充分な睡眠時間を毎日同じ時間帯にとることが、良質な睡眠につながる。そのためにはエアコンはタイマーにせず、一晩中つけっ放しにして寝るのがここ数年来、新常識となりました」
こう話すのは、睡眠改善インストラクターの資格を持つ、管理栄養士として食事と睡眠の観点から健康と美容にアプローチする「睡食健美」を提唱する篠原絵里佳さんだ。
<快眠のための環境作りのポイント>
・カーテンはしっかり閉め、朝起きたら開けて光を浴びる。
・扇風機はクーラーの対角に置き、体に直接当てず空気を循環させる。
・鎮静作用のあるアロマオイルなどを使用。
・寝具はタオルケットよりも掛け布団がおすすめ。
・吸湿性が高く、袖口が広く開いたパジャマを着用。
就寝時のエアコン設定温度は26℃が基本。布団に入る1~2時間前からつけておき、寝室全体を冷やすこと。
パジャマは吸湿性が高くて袖口が広く、体を締めつけないものを。エアコン使用時はタオルケットよりも布団をしっかり掛けて寝るのが、夜中に目を覚まさないための秘訣だという。
「エアコンをつけたまま寝ると起きた時に体がだるくなると心配する声もありますが、酷暑の場合はやや低いくらいの設定温度の方が安定して眠れることが実証されています」(篠原さん)
もし寒いと感じたなら、必要に応じて温度や風量の微調整をして。
屋内熱中症の警戒ラインは室温28℃、湿度70%。先に紹介した就寝時の26℃設定とわずか2℃の違いでも熱中症になるリスクがあり、温度と湿度両方に気を配る必要性があることがわかる。
「とりわけ大事なのは、寝入りばなに70~120分のサイクルで訪れるノンレム睡眠。ここで成長ホルモンが分泌され、細胞が生まれ変わるターンオーバーも行われ、疲労は回復します」(篠原さん)
レム睡眠中はまぶたの下で眼球が動くのに対し、ノンレム睡眠は副交感神経が優位になって脳の活動も低下し、まぶたの下の眼球も動かない。
「深い眠りのノンレム睡眠に入るのに、寝酒やベッドでのスマホはNG。オレンジ色の明かりの下で読書するくらいがちょうどいい。就寝中に汗で水分が失われるので、寝る前にコップ1杯の水を飲むように心がけて」(篠原さん)
水分の正しい摂り方とは?
人は通常700mlほど汗をかき、尿や便でも水分を排泄するため1日約2リットルの水分が必要。
「3度の食事から約1リットルの水分は摂れるので、起床時と就寝前にコップ1杯、あとは発汗やのどの渇きに関係なくこまめに少量ずつ飲むとよい。大量の水を一度に飲むと低ナトリウム血症を起こすので要注意」(前出・篠原さん)
運動や下痢・嘔吐で大量の水分が排出された場合以外は塩分補給は不要。利尿作用があるビールやお茶も不向き。糖質の多い清涼飲料水も避け、水か麦茶を選ぼう。麦茶はミネラル豊富なうえカフェインレスで、夏の水分補給に最適。
ストレッチで対策!体を動かして気力と体力を取り戻す
夏バテとは長時間、何日も暑い日が続くことで体調がくずれる状態をさす。夏バテの症状は人それぞれだが、女性はとくに肩こりを感じている人が多い。そこで体のこりを改善するストレッチとツボ押しを伝授。
日頃の運動不足に加え、クーラーによる冷えで、体がこり固まってしまっている人も。そんな体を手軽にほぐすことができるストレッチとツボ押しを、医学博士で健康科学アドバイザーの福田千晶さんが教えてくれた。
まずは深呼吸でリラックス。
【1】 足を肩幅に開いて立ち、両腕を肩の位置まで上げる。手のひらは上に向ける。
【2】 息を吸いながら、片方の腕を、弧を描くように反対側へ曲げていく。上半身を動かして、脇、肩、腕をしっかり伸ばす。
【3】 同じように、両腕をすぐ反対側にスイングさせる。この動作を左右交互に各10回行う。
続いて、肩と心をほぐし、ゆるめるストレッチ。
【1】 ひざ立ちになり、体の正面で腕を組む。体の力を抜いて、軸を真っ直ぐにするのがポイント。いすに座って行ってもOK。
【2】 両腕を組んだまま、横にスイングさせる。腕の重みを利用して、ひじをできるだけ後ろへ引くとよい。
【3】 同じように、両腕をすぐ反対側にスイングさせる。この動作を左右交互に各10回行う。
ツボ押しで対策!3つのツボで冷えや疲れを回復
「肩井(けんせい)」
首の後ろの付け根と肩先の真ん中にあるツボ。「気づかないうちに、首まわりが冷えている女性が多い。ここを揉むように押すことで、血行がよくなり、リラックスできます」(福田さん)。
「足三里(あしさんり)」
足のすねの外側、ひざのお皿から指4本分下がったところにあるツボ。ここを少し強めに押すと、足の冷えや疲れがほぐれるだけでなく、体全体の疲労回復につながる。
「湧泉(ゆうせん)」
足の裏で、足の指を曲げたときにできるくぼみにあるツボで、気力が泉のように湧くといわれる。親指を使ってしっかり押すと、全身のだるさが取れてスッキリする。
「ストレッチは全身の血行を促進させ、心も体もリラックスさせることがポイント。ツボは足の裏の湧泉や、肩こりのツボ・肩井などを押すと効果的です」(福田さん)
ツボは自分で押しても人にやってもらってもよい。
【教えてくれたのは…】
管理栄養士
篠原絵里佳さん
睡眠改善インストラクター、睡眠健康指導士としても活動。食事と睡眠の観点から健康と美容にアプローチする「睡食健美」を提唱。
医学博士・健康科学アドバイザー
福田千晶さん
専門はリハビリテーション医学、東洋医学、健康スポーツ等。企業の産業医活動、講演、執筆のほか、テレビ・ラジオにも出演多数。
イラスト/野田節美、小野寺美恵
※女性セブン2018年9月13日号
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