まだまだ残暑が厳しい毎日、夏の終わりはずっと先のような気がするけれど、暦上はすでに秋。秋といえば、おいしい食材があふれる季節。夏の間、食欲不振に悩まされた人にとっては特に、食欲の秋の訪れが待ち遠しいのでは?
そこで、「マラソン界のシンデレラ」と呼ばれた最強美人ランナー市橋有里(いちはし・あり)さんに、暑さが残る中でもさっぱりと味わうことができ、栄養豊富な旬の食材を使った、夏の疲れを癒してくれる晩夏のおすすめメニューを直撃!
気持ちは早く秋にシフトしたいけど、体がついてこないライターFが徹底レポートします。
秋が旬の食材を先取り!さっぱり味が食欲を誘う「南蛮漬け」
――鮭と野菜の彩りがきれい! 南蛮漬けにはちょっと渋いイメージがありましたけど、こんなに華やかならパーティーメニューにもなりそうですね。
有里:そうなんです! 私は「新鮮な魚が獲れたから」と近所のおじさんがよく釣り帰りにお魚を置いていってくれるような、新鮮なお魚に事欠かない環境で育ったのですが、ひときわ印象に残っているのが、小あじの南蛮漬け。今でもよく作って、おもてなしの一品にしたり、おもたせにしたりしています。
――それを今回は、旬を迎える鮭でアレンジしたわけですね。
有里:はい。鮭は、9月から11月が産卵シーズンですが、産卵直前の鮭は脂が乗って、1年の中でも一番おいしいと言われています。それに、美容や健康にうれしい栄養素も豊富。夏の暑さで疲れた体に、たっぷり栄養をチャージできますよ。
――ステキ! おいしく食べて栄養補給したいです。
有里:まだまだ残暑が厳しいですが、お酢を使うことでさっぱり食べられますし、夏の疲れを残さないためのパワーデリとしてもおすすめです。
――夏の疲れを秋に持ち越したくないですものね。楽しみです!
《材料》(2人分)
鮭…200g 帆立…100g 赤たまねぎ…1/8個 パプリカ…1/4個 かぼちゃ…1/8個 スプラウト…少々 カンタン酢…大さじ5(酢と砂糖を2:1であわせたものでもOK) 白だし…大さじ1/2~1 ごま油…大さじ2(オリーブオイルでも可)
《作り方》
【1】 鮭は食べやすい大きさに切り、帆立とともに塩をふっておく。赤たまねぎ、パプリカ、かぼちゃはスライスしておく。
【2】 フライパンにごま油をひき、鮭、帆立、かぼちゃ、パプリカをそれぞれこんがりと焼く。
【3】 【2】をバットに並べ、カンタン酢と白だしを混ぜたものをまわしかけ、冷蔵庫で冷やす。赤たまねぎやスプラウトは食べる直前にのせると彩りよく仕上がる。お好みでレモンをしぼってもOK。
疲労回復と美肌にアスタキサンチンが効く!ビューティー&パワーチャージ
――脂がのった鮭は本当においしいですよね。このきれいなサーモンピンクが、もう見るからにおいしそう!
有里:鮭といえば、この色味が特徴的ですけど、ピンク色の鮭は、白身魚と赤身魚のどちらか知っていますか?
――え!? 鮭について白身とか赤身とか考えたことがなかったかも。
有里:そうですよね。実は鮭は白身魚で、このピンク色はアスタキサンチンという天然の色素によるもの。アスタキサンチンこそが、夏の疲れた体に効果を発揮する注目の成分なのです。
――アスタキサンチン、どんな効果があるのでしょうか?
有里:まず、疲労回復効果。身体的な疲労感の軽減だけでなく、集中力や意欲の向上、イライラを抑えるなど、 精神面の疲労回復に効果的という臨床試験結果も報告されています。
――メンタル回復はありがたい(笑い)。
有里:そしてもう1つは、美肌効果です。アスタキサンチンは優れた抗酸化作用をもっていて、細胞を若返らせる働きをしてくれます。
――夏の間、紫外線や汗などのダメージを受けた肌にはマストで取り入れたい成分ですね。
有里:そうですね。鮭にはアスタキサンチンの他にビタミン類も豊富に含まれていて、高い美肌効果が期待できるので、紫外線によるシミやシワ、日焼けなどが気になるかたには特におすすめです!
――それを聞いて、ますます鮭が好きになりました!
カラフル野菜で、見栄えも栄養バランスも大幅アップ!
――今回のレシピは、野菜がたくさんとれるのもうれしいですね。
有里:はい。かぼちゃやパプリカなどカラフルな野菜を使うことで、見た目もぐっと華やかになりますし、カリウムや食物繊維などをプラスでき、栄養バランスもアップします。スプラウトなど火を入れないものは、食べる直前にトッピングするのがおすすめです。
――彩りと栄養、どちらもプラスできるのがいいですね。それに、帆立がはいっているのもうれしい!
有里:今回は夏の疲労回復をテーマにレシピを考えたので、低脂肪でありながら良質なたんぱく質を豊富に含む帆立を使ったのですが、いろいろな食材でアレンジを楽しむのもいいと思います。もちろん、定番のあじで作るのもおいしいですよ!
――定番のあじの南蛮漬けも、カラフルな野菜をたくさん使って作ったら、ヘルシーな”映えメニュー”になりそう。さっそく作ってみたくなりました!
有里:うれしい! 甘酢の風味が食欲をそそって箸が進むと思いますので、普段、魚を食べる機会が少ないかたや野菜不足を感じているかたには、特に作ってみてほしいなと思います。
――残暑が厳しい中でも食べやすいさっぱり風味で秋の味覚を先取りできるなんて、今の時期にぴったりですよね。
有里:暦の上では秋を迎えても実際はまだまだ暑いので、半袖や涼しい素材の服で秋のカラーを取り入れるように、まずはひんやり、さっぱりした料理で秋の食材を楽しむのがおすすめ。
――さっそく作って食べて、夏の疲れを癒したいと思います。有里さん、今回もステキなレシピをありがとうございました!
有里:こちらこそ! 夏の疲れや肌ダメージを秋に持ち越したくない方のビューティー&パワーチャージに “アリ”だと思います!
* * *
お盆休みも明けた8月後半は、心身ともに疲れによる不調を感じやすい時期。また、真夏の強い紫外線を浴びた肌には、外側からだけでなく、体の内側からのケアも大切です。
暑さや疲れで食欲が落ちているときでも食べやすいアレンジで栄養豊富な旬の食材を上手に取り入れ、元気に新しい季節を迎えたいですね。
レシピ考案:市橋有里
いちはし・あり。1977年11月22日、徳島県生まれ。アスリートフードマイスター・料理研究家・ランニングアドバイザー。1999年、世界選手権セビリア大会銀メダル獲得。2000年、シドニーオリンピック日本代表。「マラソン界のシンデレラ」とも呼ばれ、現在はランニングアドバイザーとして女性誌でランニングモデルをしたり、料理イベントをするなど、活躍の場を広げている。
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