何かとイベントが多く、暴飲暴食をしがちな季節。「でも、胃腸は大切にしないとね~」と思っている中、最近よく耳にするのが「腸活」という言葉。なぜ注目を集めているかというと、腸が私たちの健康長寿に極めて重要な役割を果たすことがわかってきたためだ。では、何をすべきなの?をご案内します。
健康な腸には、腸内細菌の種類が豊富
腸を若く保ち、腸内環境を整える食品として最も手軽なのがヨーグルトだが、どれほどのメリットがあるのだろうか。
腸内細菌の研究を行っている東京工業大学准教授の山田拓司さんが、ヨーグルトを摂取する効果について教えてくれた。
「ヨーグルトなどからビフィズス菌や乳酸菌を摂取すると、腸に定着はできないものの、一定期間腸にとどまることがわかっています。逆を言えば、これらの菌を摂取し続ける限り、健康効果は期待できるかもしれません。ただ、腸内細菌には個人差が大きく、たとえばAさんの腸内ではよい働きをする菌が、Bさんの腸では働かないケースもあります。2週間程度食べ続けて便秘が改善されたなどの効果があれば、自分に合っている可能性があります。効果がなければ別の種類を試した方がいいでしょう」(山田さん・以下同)
つまり漠然と摂取していては無意味かもしれないのだ。また最近の研究で、腸内細菌はバランスだけでなく、多様性も健康の重要なカギであることがわかっている。
「潰瘍性大腸炎などを劇的に改善するとして、『便移植治療』が注目されています。これは、本来の腸内細菌を排除して、健康な人の便に含まれる腸内細菌を移植する方法で、アメリカでは治療方法のひとつになっています」
衛生的になりすぎた現代社会では腸内細菌の多様性が失われがち。バラエティーに富んだ食品を摂取し、腸内細菌を増やすよう心がけることが何よりも大切だ。
“内から腸活” 腸が喜ぶ食生活を
腸内環境を整えるためには、腸内細菌のエネルギー源となる食事を摂るのが基本。では、何を、どう食べればいいのか? 効率のよい方法はこれだ!
発酵食品×食物繊維で菌を育てる
冬は寒さから腸が冷え、年末年始のイベント続きで暴飲暴食になるなど、腸がダメージを受けやすい。日本美腸協会代表理事の小野咲さんはこう語る。
「ダメージを受けた腸をケアするためにも、体を温める効果のある鍋料理がおすすめです。加熱することでカサが減る野菜から食物繊維がしっかり摂れますが、葉野菜だけではなく、水溶性の食物繊維が豊富なごぼうなどの根菜類、昆布やわかめなどの海藻類も入れるといいですね。特に2019年から流行しているみそや甘酒などの日本の伝統食品や、キムチ、チーズなどの発酵食品を使った『発酵鍋』は、菌も一緒に摂れる優れた腸活法。ただし、発酵食品は熱に弱いのであまり煮込まず、最後に入れたり、薬味のようにトッピング遣いをするといいですよ」(小野さん・以下同)
発酵食品は体に有用な菌そのもので、食物繊維は菌のエサになって菌を育てることになる。一緒に摂ればダブルで腸に働くのだ。
腸活になるたんぱく質がある
食物繊維は消化されにくいため、大腸まで届き、腸内細菌のエサとなるから腸活に最適なのだが、同様の働きをするたんぱく質も存在する。それが、レジスタントプロテイン。
「肉や魚はアミノ酸に分解されて体内に吸収されます。ですが、大豆やとうもろこし、高野豆腐などに含まれるレジスタントプロテインは、難消化性なので分解されずに腸まで届き、食物繊維と同じような働きをするのです」
ライ麦パンやさつまいもなどに多く含まれるレジスタントスターチというでんぷんも難消化性。レジスタントプロテインとともに腸活に有効だ。
“ちょい足し”できる美腸パウダーも便利
「料理まで作れない」という人には、いつもの食事にプラスするだけで美腸効果が期待できるパウダー食品も便利。なかでも、以下の2つがおすすめだ。
【1】おからパウダー…大豆原料。水溶性と不溶性の食物繊維や大豆オリゴ糖を含む。
【2】米ぬかパウダー…精米時に失われるビタミンB1、B6、E、鉄、GABAなどを含み、不溶性食物繊維とオリゴ糖が豊富。
イラスト/小野寺奈緒
※女性セブン2020年1月1日号
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