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【64歳オバ記者 介護のリアル】母ちゃんが天国へ旅立った 臨終間際に呼びかけた「いづまでも寝でんじゃね。じゃがいもの種芋、植えなくちゃなんねーべ!」

季節の復活をしたらまた介護をしてもいい

いずれにせよ、虫の息かと思っていたのに顔も呼吸も穏やかでひとまず安心した私に、U医師は「耳は聞こえるそうですから話しかけてやってください」と言うので「母ちゃん、うじの校長先生(弟)が3月○日に卒業式やんだよ。それまでは頑張ってくれっか?」と、まずはいちばん気がかりだったことを耳元で言ってみた。

オバ記者とオバ記者の母親
耳元でげきを飛ばす「いづまでも寝でんじゃね」
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ん? 今、ちょっと口元が動かなかった? 「はあ(もう)、いづまでも寝でんじゃね。そろそろじゃがいもの種芋、植えなくちゃなんねーべ! はだげ(畑)、今年は私も手伝うよ。いっしょにやっぺな」と、気がつくと私は思いもよらないことを口走っていた。

自宅介護は二度とイヤというのもホントだけど、もしまた昨年の夏みたいに奇跡の復活をしたら、短期間なら介護をしてもいい、ような気がしたの。

賞をとった母ちゃんのじゃがいも

そうそう、じゃがいもといえば母ちゃんの自慢話がある。あれは私が農業高校3年の時だから約半世紀も前のこと。高校の収穫祭に家庭菜園で作ったじゃがいもを出品したら賞をとった。

オバ記者の母親
畑仕事に精を出していた母ちゃん。作っていたじゃがいもで賞を取ったことも
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出荷農家に競り勝ったことがものすごくうれしかったのね。それからは毎年、春になると切ったじゃがいもに灰をつけて蒔いていたっけ。そして収穫すると段ボールに詰めて得意満面。亡くなった父親の運転で、毎年、私の東京のアパートまで運んできた。

オバ記者の母親の遺品
いつも着ていた上着だけは捨てられなかった…
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そんなことを実家の茶の間でぼんやり思い出していたら、「姉ちゃん、いつ母ちゃんが帰って来てもいいように、うじ(家)片付けっぺよ」と弟。

紙オムツ、パジャマ、洋服。片っ端からゴミ袋に突っ込んだ。まだ母ちゃんの体温が残っていそうなパジャマを手にした時はズキンと胸が傷んだけど、エイッとゴミ袋に押し込んだ。だけど、母ちゃんがよく着ていた上着だけは残すことにした。

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