神ユニットが表現する「乙女の本音」
そして最後に、おニャン子クラブの神ユニットといえば、「うしろゆびさされ組」「うしろ髪ひかれ隊」である。
「うしろゆびさされ組」(高井麻巳子・岩井由紀子)は、『うしろゆびさされ組』(1985年)、『技ありっ!』『渚の『・・・・・』』(いずれも1986年)など、本当にかわいい。アイドルはうまい下手ではない、逆にこの拙さ、幼さがなによりも恋のモジモジ、乙女の本音を表すこともある——。彼女たちはそう教えてくれた。
特に『渚の『・・・・・』』は、浜辺のデートで砂浜につく足跡と、キスの沈黙を「・・・・・」でW表現。神がかっている!
「うしろ髪ひかれ隊」(生稲晃子・工藤静香・斉藤満喜子)は、3人とも歌が上手で、プロの目力があって、もうおニャン子とは別枠っぽかった。『時の河をこえて』(1987年)の異国情緒、好きだったなあ。
おっと苦手なはずのおニャン子なのに、ウッカリ熱くなってしまった……。
おニャン子クラブが活動したのはわずか2年半。彼女たちは、楽曲に漂う不適切さや甘酸っぱさ、少し恥ずかしくなるくらいの無防備さも含め、存在そのものが「思春期」だったのかもしれないなあ、と、今になって思えるのだ。
◆ライター・田中稲
1969年生まれ。昭和歌謡・ドラマ、アイドル、世代研究を中心に執筆している。著書に『昭和歌謡 出る単 1008語』(誠文堂新光社)、『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)がある。大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し、『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。他、ネットメディアへの寄稿多数。現在、CREA WEBで「勝手に再ブーム」を連載中。https://twitter.com/ine_tanaka
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