劇団四季のモットー「慣れだれ崩れ=去れ」との闘い
──本作に限った話ではないのですが、劇団四季は創立時から「慣れだれ崩れ=去れ」というモットーを掲げていらっしゃいますよね。おふたりは同じ演目を長期で演じるとき、どうやってフレッシュな気持ちで舞台に立っているのでしょうか?
谷原:本当に、それは毎回の課題だよね?(三代川さんと顔を見合わせながら)
初心を思い出し、いま初めて起きていることなんだと思おうとしても、まず思おうとする時点でダメなんですよ。セリフや歌は叩き込んだうえで役のことは何も考えず、「ただそこに立つ」ということを意識しています。
もしどうしても煮詰まってしまったら、ドラマや映画など、違う世界に一度身を置くこともあります。例えばこの間まで出演していた『ゴースト&レディ』のときは、似たようなドラマを探して見ることで、良いリフレッシュができました。
三代川:私は相手役の些細な変化に気づけるくらい、相手をよく見て観察するようにしています。そうすると、そこからもらえる情報で新鮮な気持ちになれたりするんです。

谷原さんも三代川さんも、身振り手振りで話しながらも、終始、背筋をピント伸ばしていたのが印象的で素敵。
──最後に、オフタイムの過ごし方を教えてください。
谷原:私は愛犬(トイプードル)に癒されています。
もともと私はインドア派で、オフの日は窓も閉めて絶対一歩も外に出ない人だったんです。それが最近は犬のお散歩があるので、朝晩外に出るようになり、お日さまを浴びてビタミンDを体内で生成できるようになりました(笑い)。
朝6時半に起きて、道に咲いている小さいお花を発見したり、お散歩ですれ違う人とたくさん会話するようになったり。犬のおかげで自分の性格が明るくなってきた実感があります。
三代川:私も猫(スコティッシュフォールド)を飼い始めたんですが、猫と過ごす時間がかけがえのない癒しになっています。
私は普段からいろいろなところにお出かけしたい派で、オフの日は窓を全開にして(笑い)、特別な予定がなくても1日1回外出するタイプ。いまは猫ちゃんのおかげで家にいる時間が増えて、落ち着いてきた気がします。
谷原:ここまでタイプが違うけれど、やっぱり“妹”は“妹”で。久しぶりに会ってもなんの違和感もなく自然でいられるんです。
三代川:阿吽の呼吸みたいな感じですよね。これからもお姉ちゃんを頼りにしています!
取材を終えると、時計を見て、「暗くなる前に、犬の散歩に行かなくちゃ!」と急いでその場を飛び出した谷原さん。三代川さんは本誌スタッフとひとしきり談笑して劇場を後にした。
舞台とはひと味違う一面に、この“姉妹”の魅力が一層深まった。
* * *
舞台上から客席を望むと、2階席までしっかり見通せて、俳優からは観客の反応がはっきり見えるのだそう。大いに笑って泣いて拍手を送れば、あなたの声援が間違いなく届くはず。俳優と観客がつながれるこの距離感、たまりませんね!

【後編】では、オラフの操作のヒミツ、そして舞台装置や衣裳、かつらに関する裏方スタッフによる解説をお伝えします。