女優・大塚寧々さんが、日々の暮らしの中で感じたことを気ままにゆるっと綴る連載エッセイ「ネネノクラシ」。第16回は、寧々さん一家の「大掃除」のエピソードについて。
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年齢を重ねる度に、一年がどんどん早くなっていくような気がするのは、私だけだろうか?
今年も気がついたら、あっという間に年末だ。年末といえば、本当に慌ただしくなる。クリスマスが終わったら一週間くらいしかないのだから、当たり前といえば当たり前だが…。
一度に大掃除するのは、本当に大変なので、秋くらいからちょこちょこ始める。そうはいっても、結局年末までドタバタするのだが…。
大掃除といえば高圧洗浄機が活躍する。ずっとやっていると手がしびれてくるので、夫と(最近は息子も)交代でやる。
ビュンビュンきれいになっていくのは本当に楽しい。夫は「圧がすごいからちょっと距離をとって気をつけて」といつも私に言う。
屋上を掃除していた時だ。「ああ!!!」という夫の声がした。「ん?」と思い、「どうしたの?」と聞くと「やってしまった~」という。見ると、壁のコンクリートが少し欠けている。
いつもあんなに私に気をつけろと言っているのに自分がやってしまってちょっとバツが悪そうな夫の顔が面白い。いつも一生懸命頑張ってくれているし、結局ほとんどやってくれているし仕方ない。しかし、高圧洗浄機を使う度に私に何度も「気をつけて」と言うようになった(笑)。
電動草刈り機を使っていたときも夫が「ああ~!」
電動草刈り機で庭の草刈りをしていた時は、庭の照明のコードがあるから、草と一緒に切っちゃわないように気をつけてと言っていた。
夫が電動草刈り機を使い、私が切りばさみで地道に少しずつ切っていた時のことだ、
「ああ~!」という夫の声がした。
「ああ~」の声を聞いた瞬間にやったなと思った。案の定 照明の電源コードが切れていた。思わず笑ってしまった。あんなに気をつけてと言っていた本人が(笑)。
「ああ~」と言って落ち込んでる姿が何かちょっと可愛い。そして、修理する早さと立ち直りの早さがすごい。すぐに直っていた。
もちろん私も物を落としてしまったり、体を壁にぶつけたりと、あれやこれやと失敗する。怪我をしなくてよかったし、やはり慌ただしい時こそ、慎重にということだろうなあとぼんやり思う。
でも家に感謝しながらみんなで掃除する時間は良い時間だなとしみじみ思う。さて、今年も無事に大掃除が終わりますように!
◆文・大塚寧々(おおつか・ねね)
1968年6月14日生まれ。東京都出身。日本大学藝術学部写真学科卒業。『HERO』、『Dr.コトー診療所』、『おっさんずラブ』など数々の話題作に出演。2002年、映画『笑う蛙』などで第24回ヨコハマ映画祭助演女優賞、第57回毎日映画コンクール主演女優賞受賞。写真、陶芸、書道などにも造詣が深い。夫は俳優の田辺誠一。一児の母。現在、出演映画『軍艦少年』が公開中。